現代のリアルクローズとして。木綿にこだわる理由。

もうかれこれ10年以上立ちますが、飛び込みで営業に来られた備後絣の織元の社長さんにお会いする機会がありました。その時初めて見せていただいた木綿絣の生地サンプルに偉く感動したのを今でも覚えています。藍、柿渋、墨を原料にした天然染料で染められた生地は何とも優しく、1点1点生地の表情を見て取れるようでした。

一切の手抜きをせず、昔ながらの製法で織り上げられる木綿だけに、そのクオリティと変わらぬ素朴さは人を和ませるパワーさえも感じ取れました。昔からあったものなのに、その素晴らしさに改めて深い感銘を受けました。備後絣に限らず庶民の日常着として愛された久留米に片貝、伊勢、唐桟なども同様の完成された奥深い味わいの木綿です。

現代では普段着物と言えば手入れもよく、その上ファッショナブルなポリエステルの着物が主流になっています。地味にも派手にも色々なデザインが楽しめて、技術の向上から暑い時期にも快適に過ごせる化繊も登場しました。着物を着て日本の文化を感じ、非日常をイベント的に味わう楽しみは素晴らしい事だと思っています。

当店が敢えて木綿をおすすめする理由は、簡単に言ってしまえば自分が着てみて木綿と言う生まれた時から日常的に慣れ親しんだ、自然素材の布地に包まれる心地よさをぜひ着物として体感していただいきたいと言う思いが一番です。きっと着物を身近に感じていただけると思います。

化繊にしろ、絹物にせよ着物もファッションなので楽しみ方は様々な選択肢があります。ただ、今後日常着として長く楽しむかもしれないリアルクローズとしての着物は、手間の掛かった染めやデザインなど、作り手の生地に対する思いを馳せつつ、肌感覚で毎日着たくなるようなものを選択する事がとても大切に思います。この感覚は、特に初めて着る着物ビギナーの方にとって今後着物を好きになるかどうかのターニングポイントになる気がします。

オリジナルブランド「MENYA.fabric」を立ち上げて以来、多くのお客様とお会いする事ができ、言い尽くせない喜びをいただきました。当店のコンセプトワード「きものからはじまるライフスタイル」。これからも最高の普段着「木綿着物」を通して多くの方にライフスタイルの一部として暮らしの中で着物を着る事の楽しさ、喜びをお伝え出来ますようにがんばって参ります。